オランダ人アーティスト、ヘルマン・デ・フリース(Herman De Vries)の作品集。2024年9月から2025年2月にかけてオランダの「デン・ハーグ市美術館(Kunstmuseum Den Haag)」で開催した展覧会に伴い刊行された。本書は50年にわたり作者が手がけてきた出版プロジェクト「eschenau summer press」の刊行物をまとめた一冊である。
作者は同世代で最も知られたアーティストの一人であるが、もともとは植物学者であり、主に土や草、他にも数え切れないほどの植物など、自然を素材として用いて作品を制作し、そのことで自然に対する新たな視点での体験を我々にもたらしている。1970年代以降、彫刻、コラージュ、インスタレーション作品で自然の一部分に光を当て始め、その実践は一貫して、ルーツである「ゼロ(ZERO)」の活動と合致している。
その活動はオランダのアーティスト・ブックの発展に重要な役割を果たしてきたにもかかわらず、出版者としての仕事はあまり知られていない。かつて詩人であるトーマス・A・クラーク(Thomas A. Clark)が「知性と感覚の小さな爆発、驚嘆の種」と表現した作者の出版物は、「アーティストブック」の定義をどこまでも広げるものであるにもかかわらず、である。1974年より「eschenau summer press」、「temporary travelling press」と名付けられた自身の出版プロジェクトでアーティスト陣の刊行物を手がけ、当初より、現代アーティストのジェイムズ・リー・バイヤーズ(James Lee Byars)、マリナス・ボエゼム(Marinus Boezem)、近年ではメラニー・ボナジョ(Melanie Bonajo)といった同好の士を募り出版へと繋げていた。アーティストたちには自由に表現を委ねており、結果、その形と内容のいずれにおいても実験的な試みが目覚ましく生まれていった。マルハナバチ(バンブルビー)の音声を飼育係の者に呼びかけて録音したラジオドラマから、太陽を見ることができるスライドガラスまで、この出版シリーズには現在77のエディションが存在している。
展覧会では、手製の校正刷りや手紙なども展開され、出版物がどのように制作されたのかが明かされている。自身や他のアーティストの出版物には偶然性が多用されており、例えば妻であるスザンヌ・ド・フリース(susanne de vries)が撮影した写真には、自然というテーマが繰り返し登場する。
「オランダ美術史研究所(RKD - NETHERLANDS INSTITUTE FOR ART HISTORY)」のキュレーターであるリン・ファン・ライン(Lynne van Rhijn)、トン・ゲールツ(Ton Geerts)の編集によって、作者が手がけた出版への扉が開かれ、全貌が明らかになった。本展で展開される作品の一部は、作者のアーカイヴを所蔵する「オランダ美術史研究所」より貸与されたものである。
softcover
416 pages
150 x 210 mm
color, black and white
2024
published by RKD - NETHERLANDS INSTITUTE FOR ART HISTORY
published by WAANDERS PUBLISHERS
(ディストリビューターより)
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