グラフィックデザイナーが母になったら、色と形に辿りつかない日々が始まった。
妊娠してお腹が大きくなり、のそのそと歩まねばならぬ体に変化していく中で見えてきたのは、ままならない体と足並みの揃わない社会だった。
育児が始まると目の前に立ちはだかる仕事と育児の両立という壁。
人々の暮らしと地続きであるはずのデザインの仕事と、目の前の家事育児という暮らしの相性の悪さ。子どもの時間と、仕事の時間。
子どもを通して見ている世界と、仕事を通して見えている世界。
混沌とした曲線の世界と、秩序だった直線の世界。二つの間で立ち往生しながら見えてきたのは、資本主義のレースと止まらぬ環境破壊とジェンダー不平等が一つの輪をなしている景色。
そして子どもが手をひいて連れて行ってくれる、土の匂いがする景色。
かつて自分も知っていた、あの曲線の景色
-目次-
想定外の曲線
四角くて軽くて早い まあるくて重くて遅い
期待される自然な形
産まれたての赤
混乱の白い血
見えない仕事 見えない性
母のグラデーション
変形するひと 変形しないひと
命の結び目
色と形
仕様:128mm×188mm/並製本/240P
著者:長嶋りかこ
デザイン:長嶋りかこ
言語:日本語
発行:村畑出版
(村畑出版より)